ISOは科学的アプローチをすすめる(1)

2015年にISO9001が大改訂を行う。大いに結構なことです。本稿は、当たり前のことながらISOは科学的アプローチを推奨していることを再度述べようと思う。だから科学なるものを我々も承知していなければならいのだが、実際のビジネスは非科学的な接近が多すぎる。暖簾をかき分けながら入ってきたサラリーマンが、さんざん上司の悪口を言って、肩組んで出ていく姿は、今は懐かしい風景だが、このような非科学的接近は結構、散見する現象だ。これを否定するものではない。それはそれで本人はスッキリするのだから。しかし、そこで彼らが述べた“問題”が解決された訳ではないだろう。だから、この問題を解決する意思と方法が必要だと思う。それが科学的アプローチのすすめだ。

1.ISO9001にみる問題解決の“筋”
例えば、規格の7.1.cに「 その製品のための検証,妥当性確認,監視,測定,検査及び試験活動,並びに製品合否判定基準」とある。検証?妥当性?そこで辞書で調べてみると、「検証とは、真偽を確かめること。事実を確認・証明すること」とある。「妥当性とは、実情などによくあてはまり、適切である性質」とある。何を確認し、何を適切とするのだろうか?実は、これこそが科学の真髄だ。「科学者は新しい考えに反論し、実験あるいはデータ分析によってテストし、誤ったものを捨てて真実のみを残す。提出された考えにこのように反論することこそ、科学的思考の根幹と言えよう。客観的に検証可能な事実によって証明できなければ科学的とは言えない」(リチャード・P・ルメルト)というように、科学的思考のフィルターを通すことで、規格要求事項を解釈することができる。

2.データのないISOとデータだらけのISO
ISOは一義的には提供される製品やサービスの信頼性であり品質保証だ。その製品やサービスの信頼性を担保する実験やデータなくして、信頼してくれと言われても少々困る。特に生命に関わる製品であれば尚更だろう。反対に、データだらけで、そのデータ間になんら脈絡もなく、しかも、データを取っている人も意味も分からずに取っているのだとしたら、データに説得力を欠き、その人のアイデンティティまで奪ってしまうことになる。実験を繰り返しながらAという仮説を、BやCのデータで(その相関関係を)説明出来たらどんなに嬉しいことか。ビジネスに科学を適用した。だから実証的(つまり客観的に検証可能な事実で)かつ実際的な方法で接近することがすすめられる。

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