これはIMD(スイスのビジネススクール)発の新たなコンセプトである。
企業内研修がおかしくなってきたと何度もブログに書いているつもりだ。
例えば、1980年代まで企業ではQC活動でにぎわっていて、その活動のスキルを上げるための教育訓練が活況を呈していた。私は、前職の群馬県経営者協会時代に教育訓練担当をしていてこの支援活動に熱中したものだ。
ところが、1990年に入ると、この熱は一気に冷めて、今度はISOが活況を呈するに至る。私の先輩たちも、いち早くISOコンサルに身を転じた。今、そのISOはどうか?諦めも含めて積極的にISOを評価する人は極めて少ない。(私はそう思わないが…)
この間、ミッション、コアコンピタンス、コンピテンシー、コーチング、クレド、メンタリングというカタカナ言葉が躍り、未だに振り回されている。
もちろん、すべての企業の成熟度がこのように同一の時間的軌跡を描くわけではなから、経験の積み重ね方が異なる。
だから、カイゼンのプロセスを踏まずにISOの仕組みを入れるとか、あるいは、経営の基軸である「方針・目標のマネジメント」を前提とせずに「コーチング」のようなものを入れて上司力を鍛えようとすることも否めないが、とても違和感を覚えてしまうのだ。
さて、テーマに戻ろう。
日本の企業内教育がその機能を発揮しているのか?という疑問である。企業内教育と言えば、階層別教育だ、職能別教育だ、テーマ別教育だ、自己啓発だと言うステレオタイプの言い方に終始する人事教育担当者にも一言申し上げたいのである。
そもそも「研修のねらいと成果は何ですか?」と。
企業内研修ではなく企業内学習であるというのが新たなコンセプト。
「学習する組織」は既にある。それを、一歩進める形での再提案である。では、その企業内学習のコンサプトとは何か?
「業績を持続的に向上させる」を念頭に置き、その目標に向けて行動を変革し、その行動を持続させ、必要な知識や文化を組織として獲得し活用する (「企業内学習入門」シュロモ・ベンハー著 参照)である。本書に耳を傾ける価値は十分にある。
続けて本書は、研修担当者は学習戦略の推進者となるべきだと説く。私は、プロセスマネジャーこそ学習戦略の推進者となるべきだと思う。次回は、もう少し詳しく述べようと思う。
以上