賃金コンサルティングのすすめ

1.賃金水準分析群馬県で活動する賃金コンサルタントの中で、きちんと賃金水準分析を行っているのか疑問を感じるケースに出会うことがある。私は、体系をいじくり回す前に、自社の賃金水準をしっかりと把握することをお勧めしている。
随分昔の話になるが、組合との賃金交渉が盛んなりし頃、組合代表が経営者団体に賃上げの要求を求めてきたことがある。経営者団体の賃金担当役員は某国立大学で数学を専攻した人物。要求の根拠とする、“平均賃金”なるものに疑義を持ち始めて、事務局にその論理的矛盾を証明するように求めた。組合がその根拠とした平均賃金は、産業、規模、男女の平均であり、しかも年齢も勤続年数労働時間数も平均化されているものだ。その都道府県別の平均賃金と比較して群馬県は相対的に低いので、一定レベルまで引き上げるべしとするものであった。この矛盾は中学生でも分かるだろう。比較する平均賃金の構成要素の基準がそれぞれ異なっているものを比較をしても正鵠は期待でいない。そこで、賃金傾向値表を活用した補正分析を行ったら、あにはからんや出面の数字を大きく上回る平均値がはじき出されたのだ。その結果、集団交渉で組合を論破してしまった。これは少々気の毒なことになってしまったと、その切れ具合に驚いた次第であった。

2.賃金構造分析金プロット図を作成して現状を把握する。X軸Y軸の属性を変えながら、当該企業の傾向を把握する。職能等級基準に基づく賃金ラインが不鮮明になったものや、能力主義と称していても年齢・勤続に強く影響受けるものなどが、一目瞭然となって把握できる。この時に活用する資料が「賃金センサス」である。賃金構造統計調査の結果報告書で、これは非常に有効である。この種に、地域経営者団体が作成するものがあるが、標本数が圧倒的に少ないので、参考にとどめる程度にしている。
ところで、この賃金構造。プロット分布図をみると、二つのグループに二分してしまっている。一つは低位平準化グループともう一つは右肩上がりで上って行くことのできるグループである。これが国際競争に喘ぐ我が日本の現状である。これでは、一枚の賃金表で管理することは不可能だ。そこで能力基準に代わって仕事基準なる概念が再登場することになる。すなわち職務の違いでしか説明つかないからだ。

3.賃金体系分析賃金体系は思想なり”と喝破した人がいた。その通り。かつて、手当を増やし続けて倒産に至った企業があった。例えば、レコード番手当などと称するものがそれ。これは朝礼時のレコード係りに支給するものだと言う。今では信じられないことだが、しかし、ひとつ間違うとこんな脈絡のない賃金体系をつくってしまうことすらある。人事制度、賃金制度、人事考課制度、能力開発体系、方針(目標)管理制度、ISO9001の力量評価など、体系的、合理的に整備する必要がある。

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